弁理士試験 合格体験記(各試験対策)
| (1)多枝選択式筆記試験対策 | (2)論文式筆記試験対策 |
| (3)選択科目対策①材料力学 / ②構造力学 / ③制御工学 |

(1)多枝選択式筆記試験対策
 多枝については条文と基本書を中心に勉強した。とにかく全ての条文を自分の知識として正確に定着させることを心がけた。具体的には条文を丹念に読み込み、条文に含まれる原則・例外・要件・効果等についての知識に漏れがないようにすることが大事である。また、青本や改正本などの基本書の記載から出題されることも多いので、多枝に出そうなところは重点的にマークしていた。
 過去問は多枝答練の時期が始まる前に一通り完了させておき、多枝答練では専ら自分が忘れている条文のチェックを行うようにした。条文の知識だけで確実に解答できない問題、例えば青本の「字句の解釈」の欄や基本書の記載、審査・審判手続の細かい運用等を問う問題については、該当部分を条文集に書き込んで常に参照できるようにした。
(2)論文式筆記試験対策
 私はレジュメをほとんど使わなかった(一応持ってはいるが)。暗記もしたことがない。長らく多枝に受からなかったので、論文答案を書く機会が圧倒的に少なかったこともあり、レジュメを暗記して効率よく論文の得点を上げようという意識が全くなかったからであろう。
 そのかわり、青本や改正法の解説本、「特許法概説」、「意匠」、「パリ条約講話」、「注解パリ条約」、「特許協力条約逐条解説」等の各基本書を丹念に読み込んだ(実際、受験期間が長いとそのような時間は充分にある)。また、意匠審査の運用基準や商標審査基準も網羅した。これは自分の周りの短期合格者と対称的なところである。2年程度の短期間で合格されている方の多くはレジュメの記載から基本書の要点をマスターされたようである。
 このように、短期合格者との論文対策法の違いはあっても、本試験で合格点のつく答案のスタイルはある程度決まっているのではなかろうか。私が常に気を付けていたのは、「問題文で聞かれていることに対し、素直にストレートに答える」ということである。逆に、問題文で聞かれていないことには積極的に触れないようにした。
(3)選択科目対策
 選択科目は平成12年の多枝が終わってから平成13年の多枝の直前まで毎日勉強していた。時間的には仕事の昼休みを利用した程度であるが、毎日コツコツと計算問題をこなしていると、全く傾向の違う新作問題が出されても「解き方の感」のようなものが働くことがわかる。要するに、出題者は1つの解法に関していろいろな角度から問題を作成してくる。本試験では問題を見て、「この問題にはあの解き方を使うのだな」ということがわかれば、後はひたすら計算ミスに気を付けて解くだけである。したがって、問題に対していかに適切な解法を選択できるかが合否の分かれ目といえよう。逆に、解法が全くわからなければ問題の解きようがない。初心者の頃は、過去問を見ても全く解き方が分からず、計算式すら立てられないことが多くあった。一時期、それで理工系科目をあきらめようとしたこともあったが、最終的には受験仲間が多くて解説書も充実している理工系科目を選択することにした。
①材料力学
 平成12年10月頃から受験生4人で自主ゼミを組み、月1回のペースで答案練習会を行った。月ごとに出題範囲を決めて各自問題を持ち寄り、その場で問題を交換して2時間で解答する。答案は出題者が回収して採点し、後日結果を通知する。このような形式で「詳解材料力学演習 上下」を一通り回した。
 材料力学の過去問は、鋼構造物設計者としての経験や2部学生時代の知識だけでは簡単に解けなかった。過去問を難なく解けるようになるには、より突っ込んだ解法の修得が必要であると思う。
②構造力学
 構造力学は弁理士試験のためにはじめて勉強した。プラントメーカーで設計業務をやっていた頃、鋼製石油貯槽の屋根をトラス構造で設計した経験は数多くあったが、その現場スキルがそのまま弁理士試験の構造力学に活かせるというものではなかった。このため私は解説書を繙いてほとんど独学で構造力学をマスターした。
 構造力学では優良な書物が多く出版されており、その中から私は何冊かを選んで勉強した。特にエネルギー原理について詳しく解説している書物は、材料力学の勉強にも役立った。新しい試験制度では材料力学と構造力学とを合わせて選択することができないようであるが、材料力学の選択者も構造力学の解説書にあたってみると案外役立つかも知れない。
③制御工学
 制御工学は最も得意とした科目である。近年、現代制御の出題が定着してきたが、適当な参考書を用いて勉強すれば充分に本試験レベルに対応できる。私は2部学生時代に現代制御理論(H∞制御)を用いた卒業研究をしていたおかげもあって、現代制御の勉強はかなり楽であった。
 古典制御については、過去問やその類題を「詳解自動制御例題演習」でマスターしておけば充分である。ヘビサイドの展開定理を試験中に使うのは非常にやっかいだったので、私はなるべく逆ラプラス変換を覚えておくことにした。逆ラプラス変換は2次のものも含めて主要な式を覚えておけば、次数が上がっても部分分数分解で対応できるから時間の短縮になる。


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