弁理士試験 合格体験記(後編)
| (1)構造改革 | (2)多枝初合格 | (3)論文初受験 | (4)論文試験合格 | (5)口述試験・最終合格 |

7.一心不乱期(受験6回目)
(1)構造改革
 平成12年の多枝不合格後、すぐに翌年に向けて勉強を開始した。先ず意識改革を行い、今までのあきらめムードを一掃して「自分は受験生である」ことを心身ともに前面に押し出すことにした。事務所には昼食を持参して出勤し、昼休みは食事を素早く済ませて残り時間(45分程度)を全て勉強時間に当てた。また自己管理を徹底して行い、仕事は全て通常勤務時間内で終わらせて極力残業時間を減らした。 この年、受験機関の中級ゼミに合格し、9月から週1通のペースで答案練習を行った。ここで受けた添削のおかげで、はじめて論文の成績が上がったように思う。
 生活リズムも朝型に変更した。翌平成13年の2月頃からは朝4時起床を習慣づけて早朝の勉強時間を確保した。事務所は時差出勤制なので7時30分に出勤し、16時ちょうどに退出するペースを口述終了までずっと続けた。また早朝・夕方は電車が空いているため、日々の通勤時間は貴重な勉強時間となった。帰宅後も2時間程度は勉強し、夜9時には就寝するようにしていた。テレビや雑誌は全くと言っていいほど見ないようにした。
(2)多枝初合格
 平成13年にはじめて多枝に合格することができた。結果は過去最高の43点(50点満点中)であり、特許庁の公表ボーダーである36点を7点上回って余裕の合格である。この年から0解答がなくなったとはいえ、前年まで30点台前半しかとれなかった自分にとっては上出来である。ただし、上述のようにこの年は意識改革を行って万全の態勢で多枝試験に臨むことができたため、ある意味では当然の結果であるといえた。この年の多枝答練や模擬試験の結果を見ても、本試験で40点を超えるだけの実力は充分につけていたつもりであるし、またそれくらい余裕で合格しておかなければ、多枝終了直後から論文の勉強に集中できないと思っていた。
 多枝後は選択科目を重点的に勉強した。計算系3科目を選択していたので、とにかく演習を繰り返し行い、計算問題に慣れるようにした。
 必須科目直前答練には2回参加した。とにかく今まで論文試験を受けたことがなく、2日で5科目の答案をまとめるのには苦労した。しかし、意外にも1つの受験機関では総合46位、他の受験機関では総合2位であった。これで自分が受験生の中でどの程度の位置にいるのか客観的に知ることができた。
 事務所の規定により論文試験1週間前から特別休暇がもらえるので、さらに個人の有給休暇を追加して論文試験の約3週間前から仕事を休ませてもらった。この点では企業にお勤めの方よりも有利であったろうか。この約3週間は選択7:必須3の割合で勉強した。
(3)論文初受験
 直前答練で事例問題を多く解いていたため、論文初日の特許法では答練のときのようなペースですんなり答案を書き上げることができた。実用新案法では第1問に1時間以上を要してしまったため、第2問は残り30分程度で書かなければならなかった。答案構成の段階で既に題意把握はできていたが、論理展開が最後まで定まらなかった。しかたがないので、先ず29条の3の趣旨や原則論を詳しく論述した後、設問の具体的事例を原則・例外に当てはめて題意に沿った記載をするように心がけた。出来上がった論文は一応の結論には達しているものの、これといったインパクトのない迫力に欠けるものとなってしまった。初日で既にへこまされた気分であったが、他人も同じようなものだと勝手に思いこむことにして、明日以降に気持ちを切り換えた。
 2日目の意匠法も第1問は事例であり、直前答練で似たような事例問題を多く解いていたことが奏功した。2問目は改正本の記載を思い出しながら丁寧に記載し、出願ABCDの扱いについても順序立てて丁寧に記載した。
 商標法は、2問とも直前答練で類題を解いていたため、いつものペースですんなり書き上げることができた。
 条約は、試験中にうまく時間配分ができたおかげで2問とも充分な解答時間があった。第2問のような問題は、合格者の中にも多様な解答例があるのではなかろうか。少なくとも自分の答案は特許庁の公表論点から大きく外れていなかったと思う(落とした項目はあるが)。
 選択科目は必須科目の翌日に制御工学、1日おいて材料力学さらに1日おいて構造力学の日程であった。選択科目初日がきつそうだったので、必須科目が終了した2日目は試験会場近くのホテルに宿泊し、翌日の制御工学に備えることにした。ホテルではあまり睡眠をとれなかったが、自宅との往復がないだけ気分的に楽であった。
 選択科目では各小問に配点が記載されているため、試験中に現在何点とれているか確認できる。このため、3科目とも簡単そうな問題から解答して早めに60点を確保しておき、先ず安心感を得た上で追加点をねらうことにした。自己採点では各科目80点を確保することができた。
※論文試験問題および論点へのリンク先は特許庁ホームページ内のURLです。
(4)論文試験合格
 論文試験終了後、合格発表まで2ヶ月以上あり、この間はとても長く感じられた。この年に必ず合格するつもりでいたので、落ちたときのことは一切考えずに入ゼミ試験も受けなかった。そうかといって、早い時期から口述の勉強をする気にもなれず、ただひたすら発表を待ち続けた。
 論文試験の合格は特許庁のホームページで確認した。このときばかりはさすがに嬉しかった。しかし、いままで口述の準備を全くしておらず、その喜びはすぐさま不安感に変わった。過去2年で口述試験の不合格者が従来よりも増加しており、平成13年は30名程度が口述試験で落とされるのではないかという予想が受験界でなされていたからである。
(5)口述試験・最終合格
 口述模試には4回参加した。この頃、仕事の期限に追われて勉強時間が全くとれなかった。ほとんど何も準備できないまま最初の口述模試を受けたので、このときばかりはボロボロの出来であった。しかし、口述模試も回数を重ねる毎に場慣れをし、本試験には自信を持って望むことができた。発表まで不安もあったが、何とか最終合格することができた。


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